緑のお医者の徒然植物記

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2020/09/27

コムラサキ 、ムラサキシキブ No,288

 コムラサキ クマツヅラ科 落葉低木

原産地=日本、朝鮮半島、中国 別名ムラサキシキブ

地際から細い枝を出し、6月から7月に淡紫色の筒型の小花をたくさん咲かせます。

9月になると直径3㍉程の果実が紫色に熟し、株全体を覆いつくします。

花は根元に近い部分から先端に向かって、順次開花し同じように根元から実をつけていきます。




コムラサキ(コムラサキシキブ)は、樹高が小ぶりですが、実つきがよく鑑賞木として最も多く用いられている。

園芸店で「ムラサキシキブ」として売られているものの、ほとんどがコムラサキです。

実際のムラサキシキブは、各地の山野に自生し、樹高3㍍と大きく、花、実ともコムラサキとそっくりですが、実つきがまばらで鑑賞木としてはやや見劣りするようです。

名前の由来としては、古代高貴な色とされた紫色の実の清楚な美しさを、理想的な平安美女の代表格である、紫式部になぞらえたと言われていますが、紫の実が折り重なってびっしりつくことから「紫重実=むらさきしきみ」と呼ばれていたものが、転訛したと言う説もあります。

果実は、★才媛と呼ばれ結婚記念樹として植えられることも多いようです。

★才媛=さいえん(高い教養や才能が優れた女性、才女のこと)

因みに男性は?と言う事だが、古来からの学芸と武芸、文武両道の表し方が、当てはまると考えられるが、女性用、男性用に分かれた言葉を使う事に、違和感を感じる人もいるような現代社会では、文美両道と言う四字熟語が、メディア等でも使われていることは、時代の流れ、空気を表しているように思えます。

◆品種として

果実が白いシロシキブ(白式部)

果実が小さく実つきがよいコムラサキシキブ

葉が小さいコバノムラサキシキブ

葉に軟毛のあるヤブムラサキシキブなど品種も多い


        (シロシキブ)

◉生育環境

樹勢が強く日なたでも、半日陰でもよく育ちます。

北海道南部から九州まで、幅広い地域で栽培できますが、腐植質に富んだやや湿潤地が適しています。

夏場の乾燥や冬の乾いた風を嫌います。

◉植え付け

若木、老木を問わずよく根付くので移植も容易です。

移植時期は3月下旬と11月から12月

植え付け時期は、2月から3月の落葉期が理想ですが、梅雨時や9月でも可能です。

日陰にも強いので、他の樹種と一緒に混植して、下木として利用することもできます。

しかし、果実の鑑賞を楽しむためには、単独で植えた方がよいでしょう。

◆肥料

通常、肥料は植え付け時の元肥で十分ですが、2月に寒肥として鶏ふんなどを与えてもよいでしょう。

また、実つきが悪い場合は、リン酸系の肥料を追肥として8月頃に与えます。

★病害虫

まれに小さな甲虫が発生することがあります。

見つけ次第、スミチオン乳剤などを散布して駆除します。

熟した果実は小鳥が好んで食べるので、実熟期にネットを掛けたり、鉢物は室内に取り込むなどの工夫が必要になります。

◉せん定は7月、11月~3月

放任しても樹形はよく整いますが、茂りすぎる傾向があるので、状態により枝抜きして整理します。

葉が動き出す前に、なるべく不要枝だけを付け根から切り取り、自然樹形を保つようにし、古枝は切り戻して更新します。

初夏(7月)には込み枝を間引き、地際から発生したひこばえや、徒長枝を早めに切り取ります。

花芽は前年枝のせ先端につくので、秋以降は先端を強く切り詰めないように注意します。

強過ぎるせん定も枝が徒長気味になり、実つきが悪くなります。

◆殖やし方


実生は果実が完熟する10月~11月に採種し、果肉をよく洗って種子を取り出し、そのまま採り蒔きする。

初根した苗は2年目の春に鉢上げして管理する。

種蒔きから2~3年で開花、結実します。

挿し木は3月の春ざしと6月の梅雨ざしがあります。

充実した前年枝を10~15㎝に切ってさし穂とし、赤玉土小粒や鹿沼土のさし床に挿します。

発根後2~3ヶ月で鉢上げして植え付け、管理します。