緑のお医者の徒然植物記

Translate

緑のお医者の徒然植物記

検索結果

2024/12/07

西蓮寺の大イチョウ No,743

 西蓮寺の大イチョウ

昨年西蓮寺を訪れて、今日で1年

同じ日の今日、再び大イチョウを見に西蓮寺へ行った。

昨日のニュースもあって見物に訪れた人々が多く、駐車場も警備、誘導員が対応していました。

昨年は閉まっていた本堂も開いていて、御朱印の受け付けも行われていました。

キッチンカーの出店もあり、昨年とは雰囲気も違っていました。


陽射しもありいい天気

二十四節気では大雪

お正月の準備をするには良い日とされる。

お利益を願う者もいるだろう





ハラハラと散る落ち葉もあまり見受けなかったが、一面にはイチョウの葉が敷き詰められて見事である。

まさにイチョウの葉の絨毯である。










関連ブログ
西蓮寺と大イチョウNo,680









2024/11/27

さつまいもの糖化 No,742

 澱粉(でんぷん)糖化

でん粉糖化とは、デンプンを酵素や酸によって分解して糖に変える変化反応です。

デンプンはブドウ糖分子、数千個が繋がってできています。

そのままでは体内に吸収することができません。

唾液(だえき)に含まれるα-アミラーゼ(消化酵素)などの酵素によって、デンプンが分解されて糖が生成されることによって体内に吸収しやすくなります。


口の中でお米を噛み続けると甘さを感じますが、それはデンプンが糖化しているからです。

サツマイモやジャガイモ、トウモロコシ、米などに含まれるデンプンを酸や酵素によって糖化されて作られたものが水飴です。

糖化は貯蔵温度が低いほど進行しますが、暗くしておくことが大切です。

サツマイモに含まれるβ-アミラーゼ(タンパク質)と言う酵素が、デンプンを麦芽糖と言う糖に分解します。

β-アミラーゼは60〜75℃で活発に働くとされ、80℃を超えるとその力は弱まります。


      「自作窯による壺焼き芋」


加熱により水分が飛ばされることで、麦芽糖の濃度が高くなります。


収穫したばかりのサツマイモは糖度が低いので追熟が必要です。


追熟には10〜15℃、湿度80〜90%で保存する必要があり、10℃以下になると低温障害を起こし、傷みやくなり腐敗の原因となります。

低温障害を起こしたサツマイモは浅黒く見える場合があります。


収穫後2〜3週間ほど追熟すると甘味が増してきます。

品種にもよりますがサツマイモの端を切った時に、黄色くなっていると熟成している目安にもなります。




サツマイモは冷めるとデンプンが「レジスタントスターチ」難消化性デンプンに変化して吸収されにくくなります。


食物繊維と同じような役割をするので、血糖値の急上昇を抑え、腸内環境を整えたり便秘解消やダイエット効果も期待できます。


麦芽糖(ばくがとう)は単糖類であるブドウ糖(グルコース)が2つ結合してできた二糖類で、水飴の主成分として知られますが、甘酒にも含まれています。

その名前の由来は、発芽した大麦をデンプンに作用させて得られたことからきています。

また、デンプンを「ジアスターゼ」で分解する時に出来る糖でアミラーゼは、ジアスターゼとも称されるデンプンを分解する消化酵素です。

α-アミラーゼとβ-アミラーゼ

分解物質のα-アミラーゼはデンプンを分解し、β-アミラーゼはアルドース(単糖類の総称)を生成します。

麦芽由来のα-アミラーゼは約73度、β-アミラーゼは約63度で最も活性が高くなります。

α-アミラーゼは唾液や膵液、麦芽、糸状菌などに存在し、β-アミラーゼは小麦、大麦、大豆などの穀物類やサツマイモに豊富に含まれています。

α-アミラーゼは「液化酵素」とも呼ばれ、デンプンを構成するアミロースや、アミロペクチンの分子内部を無作為に加水分解して可溶化(溶解化)します。

β-アミラーゼはアミロースをほぼ分解することができますが、アミロペクチンを基質とした場合は統合の手前で反応が止まってしまいます。









2024/11/21

踏み荒らされた絶滅危惧種 No,741

 クニガミシュスラン

国頭繻子蘭 ラン科

クニガミシュスランは山地樹林下に生える草丈10〜15㌢の多年草

茎は下部で匍匐(ほふく)してその先端は立ち上がる。

白い花をつける地生ランで絶滅危惧種に指定されている。


      「クニガミシュスラン」


クニガミと言う和名の由来は、沖縄北部の国頭村のことで、そこで発見されたシュスランに由来する。

シュスは茎が繻子に似ていることに由来している。

繻子(しゅす)とは、布面がなめらかで艶があり、縦糸または横糸だけを浮かした織物で、帯地や半襟(半衿)洋服生地などに用いられる。


絶滅危惧種の花消える


世界自然遺産に登録されている鹿児島県徳之島で、最大規模の日米共同実動演習「キーン·ソード25」により、世界自然遺産のコアエリア(核心地域)に生息する絶滅危惧種の花が踏み荒らされ株ごと消失しました。


この演習は10月23日から11月1日まで行われたもので、18日に徳之島の伊仙町役場で開催された、世界自然遺産に関する会合で、地元のNPO法人が被害を証明しました。

NPO法人「徳之島虹の会」によると、10月26日午前に井之川岳で絶滅危惧種の「クニガミシュスラン」の蕾が膨らんでいるのを確認している。

しかし、27日の午後にすでに踏み荒らされていました。


  「踏み潰された跡のクニガミシュスラン」

(徳之島虹の会)による提供写真(10月27日午後)


これについて、防衛省統合幕僚監部は井之川岳の地、同様に世界遺産エリアに指定されている天城岳、犬田布岳の島内三山で10月25日〜28日に山地機動訓練、同27日〜28日に偵察訓練を行ったことを認めた。

しかし、徳之島虹の会の証明について地元紙の報道で承知しているとしているが、自衛隊員が踏み荒らしたと言う事実は確認出来ないと強弁している。

井之川岳は国立公園特別保護地区に指定され、「木の実1個、葉っぱ1枚すら採ってはいけない」最高ランクの環境保全活動が実施されている地域であり、そもそもこのような所をなぜ訓練地に選ばなければならないのか、最大の疑問でしかありません。


この事から分かることはどんな状況下に於いても、軍隊と言うものは「暴走」し、またそれを現実的にも止めることが出来ないと言うことではないでしょうか!

こんな暴走がもし、違うところでもと考えたら恐怖でしかありません。


これでいいのか日本‼️









2024/11/16

触ってはいけない植物 No,740

 ジャイアント·ホグウィード

セリ科多年草 和名=バイカルハナウド

ジャイアント·ホグウィードは西アジアのコーカサス山脈が原産で、観賞用の植物として19世紀の終わり頃に、西ヨーロッパに広がり20世紀初頭にアメリカに持ち込まれました。


     「ジャイアント·ホグウィード」

樹液を触るとやけどを発症する謎の植物

樹液には「フラノクマリン」と言う有機化合物が含まれており、皮膚細胞に浸透してDNAにまで届きます。

フラノクマリンが日光にさらされると15分ほどで化学反応を起こし、DNAの鎖内(さじょう)に架橋が生成され、細胞が機能停止してしまいます。

鎖状とは、鎖のように繋がっている状態を指します。

樹液は茎や葉を折った時や、茎の剛毛を逆撫でることで人体に付着し、水ぶくれを伴うひどいやけどやアレルギーに似た症状を起こすこともあります。

深刻な状態になると長期間の日光過敏症や、目に触れた場合は失明することもある。

一見すると無害な植物に見えるため、素手で摘んでしまいやけどを負う子供も多いとされ、その危険性や強い繁殖力からニューヨーク州は、販売や輸入、購入、輸送、導入、繁殖されることを法律で禁止しています。

更にペットにも危険な植物である。


        「オオハナウド」

日本には生育していないがよく似た植物として「オオハナウド」が生育しています。

オオハナウドは犬猫の両方にとって有害な植物です。









2024/11/04

さつまいも基腐病 No,739

サツマイモ基腐病

サツマイモ基腐病(もとぐされびょう)は芋が土中で腐る病気です。


病気が感染多発した栽培地では、大幅な減収を生じます。

基腐病は平成30年度(2018年4月〜2019年3月)に沖縄県で、国内初として確認された後、全国で発生が確認されています。

令和5年1月時点で発生が確認されている都道府県

沖縄、宮崎、鹿児島、福岡、長崎、熊本、高知、静岡

岐阜、群馬、茨城、東京、千葉、岩手、愛媛、福井、埼玉

山形、石川、北海道、鳥取、長野、広島、徳島、神奈川

兵庫、岡山、大阪、和歌山、三重の30都道府県


サツマイモ基腐病は、主にさつまいも(ヒルガオ科)のみ感染するとされています。

感染すると茎の地際部が黒から暗褐色になり、茎葉は黄色や紫色に変色して萎れ、病状が進むと枯死し、その後芋(塊根=かいこん)が土中で腐ってしまいます。


    「地際部の枯れ込みが見られる株」


この病気は糸状菌(カビ)によって引き起こされ、その菌に感染した種苗や畑などに残った茎葉、芋などが伝染源になります。

健全な苗や芋に見えても、保菌している可能性があるので注意が必要です。

降雨などによって畑に水たまりができると、発病した株にできた胞子(カビのもと)が水を介して周辺の株に広がり、感染が拡大します。

育苗期から生育期、収穫期から貯蔵期間中に至るまで年間を通して感染、発病する可能があります。

日頃から病気の侵入防止と、早期発見、早期対策に努める必要があります。

苗を植えた後から収穫時まで、こまめに畑を確認し、発病が見られた畑では2年以上はさつまいも栽培を避け、さつまいも以外の作物を栽培するか、休耕します。

この病原菌は土壌中に残るため、同じ畑で連作栽培すると発病を繰り返す可能性あります。


       「発病が見られるサツマイモ」

主な防除対策例

病気が発生した場所から種芋を採取しない

無病な種芋や由来のわかる健全な苗を使用します。

種芋や苗はよく観察して選別し、腐敗や黒変があれば使用を避ける。

購入する苗が消毒済みであるかどうか確認

未消毒の苗は植え付け前にベンレート水和剤、ベンレートT水和剤20の登録農薬で消毒

別の畑で作業する前には、農機具や長靴についた土はよく落とし、水できれいに洗浄する。

畑に病原菌が入るのを防ぐため、コンテナや農機具、長靴等の洗浄水が畑に流れ込まないように注意する。

収穫後に畑に残った茎葉、芋は可能な限り畑の外に持ち出して適切に処分する。

収穫後は速やかに耕作を行う。

なお、病気が発生又は病気と疑われる症状を確認した場合、生産農家は関係機関に直ぐに連絡し、指導を仰ぐ必要があります。

家庭菜園に於いても必要不可欠な問題になっていると言えます。










2024/11/03

神農と断腸草 No,738

 断腸草

別名=鉤吻(こうとう)、冶葛(やかつ)

神農は紀元前2740年頃に活躍した皇帝で、人々に医療や農耕の術を教えたとされる人物です。

神農は毎日無数の草を食べていたが、「断腸草」と言う薬草を試すため食した時、解毒剤が間に合わず亡くなったとされています。

あらゆる毒素を解毒する葉を見つけていた神農であったが、常にその葉があるわけではありませんでした。

神農は120歳まで生きたと言われいます。

神農が食べた断腸草は外用薬として主に、湿疹や水虫、痔の治療に使われることもあります。

断腸草は山砒霜(やまひそう)、山の砒素(ひそ)とも呼ばれるほど、毒性が強いと植物で世界最強の毒草(劇毒植物)とされています。

その致死量は0.05mg


     「ゲルセミウム·エレガンス」


断腸草の正式名は「ゲルセミウム·エレガンス」でゲルセミウム科又はマチン科のツル性常緑低木です。

金銀花と外見がよく似ているため、間違って食する事故が原産地中国でも数多く発生し、死亡事故が起きている。

金銀花とはスイカズラのことで、涼茶(リャンチャ)として用いられている。

涼茶は冷たい漢方茶のこと


原産は東南アジアから中国南部でこの付近に自生している。

日当たりの良い山の斜面や道端の草むら、低木の茂み、雑木林を好み自生する。

世界最強の植物毒を持っていると言われるほどの猛毒植物である。

全草に毒を持ち、最も強い部位は若芽である。

植物のどの部分を食べたかによって中毒症状の出る速さが違う。

漢方医学では根を水洗いして乾燥させたものを「こうとう」と呼び、喘息治療や解熱、鎮痛などに用いるが、あまりに毒性が強いため「本草網目」をはじめ数ある医学書には「内服は厳禁」と記されています。

取り扱いに注意が必要な代表的有毒植物

トリカブト(別名=ウズ、カブトバナ、カブトギク)

ヒガンバナ(別名=マンジュシャゲ、シビトバナ、シタマガリ、ハコボレ)

バイケイソウ、コバイケイソウ、スズラン

ドクウツギ、ポインセチア、アジサイ、ドクゼリ

ハシリドコロ、マンチニール、フクジュソウ

エンジェルストランペット、チョウセンアサガオ

キョウチクトウ

身近な三大有毒植物
ジャガイモ、スイセン、イヌサフラン他









2024/11/01

お茶の歴史 No,737

 お茶の歴史

お茶の歴史は、中国で薬として発見されたのが始まりとされています。

紀元前2700年頃、神農が薬としてお茶を発見したとされています。

当時のお茶は、葉を食べんもので薬として用いられていました。

神農は紀元前2740年頃に活躍した皇帝とされ、炎帝神農とも呼ばれた、古代中国の伝承に登場する三皇五帝の中の三皇(伏犠=ふっき、女媧=じょか、神農=しんのう)の一人。

五帝については配列や人名に諸説があるとされています。

神農は人々に医療と農耕の術を教えました。

神農神話

神農は毎日無数の草を食べる中で、毒気に当たることはなかったのかと言う話があるが、実際には1日に70回まで毒気に当たったそうです。

しかし、あらゆる毒素を解毒する葉を見つけていました。

それが茶です。

120歳まで生きたとされる神農は、「断腸草」と言う薬草を試した時、解毒剤に間に合わず亡くなったとされています。

常にお茶があるわけではなかったのです。



お茶の伝来

お茶は奈良、平安時代に遣唐使や留学僧によって日本に広まりました。

記録では、延暦24年(805年)に最澄(さいちょう)が唐からお茶の木を持ってきて近江の坂本にうえたとあり、これは今での日吉茶園として残っています。

最澄(767〜822年)は平安時代初期の日本の仏教僧=伝教大師

奈良時代から、日本人の暮らしとは切っても切り離せないお茶が緑茶です。

日本茶とも呼ばれることから日本文化のお茶と言えます。

鎌倉時代になると、臨済宗の開祖、明菴栄西(みょうあんえいさい、1141〜1215年)が宋に2度渡り、帰国の際にお茶を持ち帰ったのがきっかけで普及しました。

江戸時代のはじめまで緑茶は茶葉ごと飲むものでした。

今でも抹茶は粉にして葉を丸ごといただいています。

江戸時代には、幕府の儀礼に正式に用いられ、武家と茶の湯は切っても切れない関係となっていきました。

中国南部やタイなどでは、発酵させた茶葉を漬物として食べています。

1738年、宇治田原郷の永谷宗円(ながたにそうえん)は、製茶方法を丁寧な方法に改めて、優れた煎茶の製法を編み出した「煎茶の祖」と呼ばれています。

宗円が生み出した製法は「宇治製法」と呼ばれ、18世紀後半以降全国の茶園に広がり、日本茶の主流となっていきました。


また、より高級な煎茶を開発しようと「覆下栽培」を煎茶に応用する試みが行われ、1835年山本嘉兵衛(やまもとかへえ)により「玉露=ぎょくろ」の製法が生み出されたとされています。

覆下栽培(おおいしたさいばい)とは、お茶の栽培方法のひとつで、茶の木をわらやむしろなどで覆って育てる栽培方法で、被覆栽培とも言われています。

茶葉を食べる

緑茶はスーパー健康食品であり、「日本茶を食べる会」と言う団体もあります。

無農薬、有機栽培のお茶を扱う業者が参加して「食べる」お茶文化を広げています。

お湯に溶け出すお茶の有効成分は、ビタミンCやタンニンの一種のカテキン、アミノ酸、カフェインなどが含まれています。

これらの成分は、1回出した茶がらには約40%、2回出した茶がらには約20%残っています。

また、不溶成分の食物繊維、ビタミンA.E、ミネラル、脂質などの栄養素がまだ含まれており、捨てるのはもったいないことです。










2024/10/26

ヨモギ No,736

 ヨモギ キク科多年植物

蓬、艾

ヨモギは古い時代から薬草として利用されていた植物です。

中国では古くから薬用とされ、約400年前の中国漢方生薬「本草網目」や「名医別録3〜4世紀」にも記載されているほど薬効も優れています。

日本でも、平安時代の歴史書「日本文徳(もんとく)天皇実録」(850〜853年)に薬草として使ったと記されています。

昔の人々はヨモギの優れた効能を取り入れるため、食べたり煎じて飲んだりして利用しました。

アイヌ民族では、この世に最初に生えた草と言われ、霊力の強い草として考えられていました。

韓国の民間療法は、産後のケアとしてヨモギを煎じた蒸気を下半身に浴びる「ヨモギ蒸し」が愛用されています。

近年では老廃物の排出効果の高さにも注目されています。


       「ヨモギ」

ヨモギの効能

昔から春ヨモギ、秋ヨモギと言う言葉があり、食用として使う場合は新春や少し寒気が出てきた秋の新芽が向いています。

初夏の頃は葉が硬くなり、タンニンなどの苦味成分が多くなるので食用には向かないので、ハーブや入浴剤、外用薬的に使用します。

ヨモギは毒性はありませんが、キク科の植物のため、キク科のアレルギーのある方は食べるのを控える必要があります。

厚生省告示の「日本薬局方」にも民間薬として記載されており、公的にもその効能は認められています。

ヨモギの葉や枝先を原料とした漢方薬では、ガイヨウ(艾葉)と呼ばれ、止血、抗菌、抗炎症などの作用の他、体を温める働きがあります。

薬効の基本は、葉緑素(クロロフィル)にあり、殺菌作用、体の免疫を強くするインターフェロン増強作用があります。

インターフェロンとは、ウイルスや腫瘍細胞などの異物が侵入した際に生体内で生産されるタンパク質で、免疫系や炎症の調節に作用して効果を発揮します。

更に、皮膚疾患、火傷などの回復促進作用、悪臭を防ぐ働きなどもあります。

カルシウムも豊富で、カルシウム不足からくる自律神経失調症、不眠、イライラなどを沈静化される効果も出てきます。


脂肪代謝を正常にする

韓国では、ヨモギ茶は「痩せるお茶」として常用され、ふつうホルモンのバランスが崩れて、脂肪代謝が高くなると太ります。

太ってくると、漢方で言う血が滞る「瘀血=おけつ」という状態になり、更にまた太ると言う悪循環に陥ります。

ヨモギ茶は瘀血をなくし、脂肪代謝を正常にするので、自然に痩せることができるとされています。

ヨモギ茶を与えたブタは、脂肪が少ないと言うデータも説得力があります。


     「乾燥中のヨモギ葉」

体を温める

ヨモギは中国で、1500年前から医草としてあらゆる婦人病に使われてきました。

冷え症に効くので昔から婦人薬として使われてきました。

生理不順、不正出血、貧血、流産防止などへの効能が知られています。


腰痛、ひざ痛

ヨモギには血行を良くする作用があるので、長期間飲用の他、外用として使うと様々な痛みを改善してくれます。

ヨモギ風呂は血流の循環をよくし、汗もよく出て体も温まり、腰痛や関節痛、肩こりによく効くとされています。

一ヶ月も続けると酷かったひざ痛、腰痛が段々軽くなり、最後には痛みが消えてしまったと言う体験談もあります。

乾燥ヨモギをあらかじめ鍋などで煮出してから、お風呂に入れる方法が簡単かと思います。

煮出しするヨモギや水の量は様々です。

お風呂に入れるので濃いめに準備するのが良いかと思います。


ヨモギ風呂に入ることで、葉緑素などの成分が皮膚に働き、皮膚炎が改善したり、更にヨモギの殺菌、消毒消炎などの作用が相乗的に働いて、アトピー性皮膚炎が改善するとされています。

また、ヨモギ茶を飲んだり、料理にヨモギ食を用いるとより早く改善すると言われています。


葉緑素は血液を浄化し、若返らせる作用もあると言われています。

葉緑素の摂取により冠状動脈の血行も改善され、内側に溜まった脂肪も取り去られ、その結果心臓の負担も軽くなります。

過酸化脂質は「脂肪のサビ」とも呼ばれ、脂肪が酸化したもので動脈硬化の犯人でもあります。

過酸化脂質が溜まってタンパク質と結合すると、異常なリポフスチンと言う色素になります。

これは黄褐色で「老化性色素」と呼ばれます。

年齢を重ねると脳や肝臓、心臓などの組織に多く沈着してくるので、老化の原因と考えられています。

ヨモギの葉には、過酸化脂質の生成を抑える強力な作用があると言われています。


ヨモギ茶の作り方、煎じ方

春ヨモギの5月〜6月、秋ヨモギの10月〜11月の若葉を摘み取り、水洗いして水切りした後、細かく刻んでザルなどに入れ、風通しの良い場所で1週間ほど陰干しします。

ヨモギは日干しよりも陰干しの方が精油を逃しません。

パリパリに乾燥したら、乾燥剤を一緒に入れて密閉容器で保存します。

煮出して飲む場合は、水500mlに対してヨモギ茶葉1gを目安とし、沸騰したら中火か、弱火にして約10分ほど煮出します。

ポットに入れる時には、不要なものを取り除くために濾して入れるようにします。

粉末のヨモギ茶の場合は1日5g程度を目安とします。


食物繊維が豊富なので、飲み過ぎると下痢を起こす可能性があるので1日2リットルを目安に飲用します。

飲み辛い場合は、ハチミツを入れたり、他の健康茶とブレンドしたり味に工夫すると良いでしょう。


   「ヨモギとビワのブレンド茶」


ヨモギ茶にはリラックス効果があり、ストレスや不安を和らげるのに効果的です。

寝る前に飲むのに適しています。









2024/10/24

森林、草地の土壌生物 No,735

 森林、草地の土壌生物の特徴

森林土壌の表層に厚く堆積した「リター層」は、耕地土壌には見られない森林土壌に特有の有機物の土層です。

「リター層」とは、森林において地表に落ちた葉や枝、果実わ樹皮、倒木、動物の糞などが堆積した層を指します。

また、土壌生物によってほとんどか分解されていない有機物の層で「落葉落枝層」とも呼ばれます。

針葉樹林では、リター層が特に厚く鉱質土壌はわずか10数cmが暗色の有機物を多く含む「モル型土壌層」である。

「モル型土壌」とは、寒冷多湿や乾燥が強い環境下で、土壌動物や微生物の活動が盛んであるため、植物遺体の分解が遅く、厚い「土壌F層」や「土壌H層」が発達した土壌です。

土壌の特徴として、酸性が強く有効な養分が乏しく、有機物の鉱質土層への浸透が悪い。

「土層F層」とは、土壌断面において分解が進み植物遺体の原形が崩れ、破片や屑状になっている状態で肉眼により識別できる層位です。

「土壌H層」とは、堆積有機物層の層位で、分解がかなり進んで元の組織が判別できないほどまで分解が進んだ層で、「Oa層」とも呼ばれます。


広葉樹林では、リター層は薄いが暗色の鉱質土層は深くまで発達している「ムル型土壌層」です。

「ムル型土壌」とは、広葉樹林では比較的薄い土壌が生成され、土壌中の有機物が地中深部まで多く発達した土壌です。

針葉樹のリター層は酸性で、タンニンやリグニンなど、フェノール性物質を多く含み、土壌動物の餌として適さないのに対し、広葉樹のリターを土壌中の巣穴へ運び込む土壌動物の主な働きは、リターの分解ではなく摂食に伴うリターの粉砕=表面積の増大であり、排泄されたリターはその後、速やかに微生物により分解されます。


また、森林の落葉落枝の分解は主に糸状菌によって行われています。

森林や草地の土壌は土壌動物相(土壌に生息する動物の分類群)が豊富であるのに対し、耕地土壌では耕うんや農薬による殺虫剤散布の結果、土壌動物相は貧弱である。









2024/10/22

土壌中の生物④ No,734

 土壌生物の種類(4)

④原生動物(単細胞動物の総称)

体長20~200μm

土壌中の原生動物は、アメーバ、鞭毛虫、繊毛虫などからなり、多くは動物遺体や各種の微生物を食べて生きています。

✼鞭毛虫(べんもうちゅう)とは、原生動物の中で鞭毛で運動する生物を総称する呼び方です。

多くの細菌は、鞭毛と言う運動器官により液体内を泳ぐことができます。

✼繊毛虫(せんもうちゅう)は、原生動物のうち、運動のため細胞器官として繊毛を持つ仲間の総称。

原生動物の中では最も進化した一群で、淡水、海水に広く分布し、他の動物に寄生するものもある。


原生動物の存在により、土壌中の物質環境が促進されることが明らかにされているが、土壌中での働きには不明な点が多い。

微生物に加え、土壌中には藻類、土壌動物が生息しています。

土壌藻類の主なものは、緑藻、珪藻であり、光エネルギーと無機物だけで生育可能な生物です。

土壌動物にはミミズやダニ、トビムシなどが存在しています。

一般に多くの原生動物が細菌を捕食しますが、植物病原細菌のうち、クワ縮葉細菌病菌やアブラナ科野菜黒腐病菌などにおいて、それらを捕食する原生動物が知られています。


微生物は各種物質の分解や酸化、還元反応など土壌の化学性に関与し、土壌動物は主に土壌の物理性に関与しています。









2024/10/20

土壌中の生物③ No,733

 土壌生物の種類(3)

③糸状菌(カビ)

分糸状の菌糸(直径0.3~50μm)

糸状菌は真菌門のうち、栄養繁殖期に菌糸状をなす接合菌、子嚢菌、担子菌などの総称。真核生物

真菌門は、分子系統を考慮して分類された真菌の門の一つです。

真菌は酵母やキノコ、糸状菌(カビ)などの微生物を指し、6つの門に分類されています。

1'ツボカビ門
鞭毛を有する細胞を生やすことを特徴とする菌類

鞭毛(べんもう)とは、真核生物の細胞の中でも最も複雑で精巧に作られいる、運動性を持つ小器官(糸状の突起物)です。

2'接合菌門
菌界の中の分類群で、接合胞子嚢を形成するのを特徴としている。

3'担子菌門
有性生殖を行う際に、担子器と呼ばれる器官に4個の胞子が外生する特徴を持つ菌類のグループ。

傘を持つ多くのキノコもこのグループに属しています。

4'子嚢菌門(しのうきんもん)
菌界に属する分類群の一つであり、担子菌門と並ぶ高等菌類である。

胞子を袋(子のう)の中に作るのが特徴で、酵母、カビや一部のキノコ(トリュフ)などがある。


5'グロムス菌門
ほとんどが陸上植物に共生して、すべて生きた生物から栄養を得なければ生きられない絶対共生性生物です。


6'微胞子虫門(びほうしちゅうもん)
様々な動物の細胞内に寄生する単細胞真核生物の一群で、これまで1500種から1600種程度が知られています。

以前は「原虫」に分類されていたがDNA解析に基づき、真菌またはその近縁種である微生物とされました。


真菌は、動物の次に進化した高等な生物で、細菌やウイルスよりも人間に近い生物です。

真菌と人の細胞は、どちらも核や細胞小器官を持つ真核細胞で見た目が似ています。


肥沃な表土では、菌糸長が土壌1㌘当たり数100mにも達します。

細菌に比べて一般に耐酸性が強く、酸性土壌中での有機物分解において、重要な働きをになっています。

土壌中における「リグニン」の分解は主に糸状菌によって行われています。

森林土壌表面に厚く堆積した「リター層」の分解は主に、糸状菌によって行われています。

リグニンは主要な樹木細胞壁成分の一つで、木質素とも呼ばれます。

リグニンやセルロース(炭水化物)が腐朽菌との戦いに敗れると樹木は枯死してしまう。

腐朽菌はキノコのナラタケなどのキノコ菌

リター層とは、森林において地表に落ちた葉や枝、果実、樹皮、倒木などの落葉落枝類や動物の糞などの、微細な有機物粒子(デトリタス)が堆積した層を指します。









2024/10/18

土壌中の生物② No,732

土壌生物の種類(2)

②放線菌

(菌糸状の形態をとる細菌の総称)

菌糸の幅1μm(1㍉の1000分の1)
μm=マイクロメートル

曲型的な放線菌は気菌糸を形成する。
気菌糸は放線菌が誘導する菌糸です。

放線菌は一般に、グラム陽性の細菌のうち、細胞が菌糸を形成して細長く増殖します。

主に土中などに生息し、抗生物質をはじめ生活に必要な多くの薬を生産してくれる、とても有用な細菌です。

しかし中には、皮膚や身体の中に住み着いて病気を引き起こす仲間もいます。

多様な有機物を栄養源にして生育し、難分解性の高分子多糖(キチン)を分解する微生物を含む。


キチン物質は、植物病原菌の多くを占める糸状菌の細胞壁構成成分であり、キチン分解放線菌を利用して、植物病原性糸状菌のコントロールが図られています。

また、各種抗生物質を生産する能力があり、土壌伝染性病原菌の抑制に役立っているものと考えられています。









2024/10/17

土壌中の生物① No,731

 土壌生物の種類(1)

土壌中の微生物は細菌、放線菌、糸状菌、原生動物の4種類に大別されます。

①細菌

単細胞(0.4~2.0μm=マイクロメートル)
あるいは細胞の連鎖状

細菌は単細胞で、硬い細胞壁を有する原核生物であり、二分裂で増殖する。

細菌とウイルスの大きな違いは増殖の仕方です。

細菌は二分裂で増える病原性を示す細菌で、早いもので数十分、遅いものでは何時間もかかって一つの細菌が2つに増えます。

通常の土壌細菌は球状、桿状、らせん状を成しています。

桿状(かんじょう)とは、細胞や細菌のような形をしているさまを示す表現です。

細菌は、ペプチドグリカンとテイコ酸を主要な細胞壁成分とするか、少量のペプチドグリカンとリボ多糖、リボタンパクを細胞壁成分とするかによって、グラム陽性細菌とグラム陰性細菌に大別されます。

ペプチドグリカンとは、原核生物の細胞壁を構成する成分で、糖ペプチドからなる高分子の化合物の一種です。


原核生物は、核や他の膜結合細胞小器官を持たない単細胞生物です。

細菌は、動物でも植物でも菌類でもない生物たちの総称です。

テイコ酸とは

タイコ酸とも言われ、グリセロールリン酸または、リビトールリン酸とホスホジエステル結合を介して結合した、炭水化物との細菌を培養して生産される細菌共重合体です。

リポ多糖とは

糖と脂質が結合した構造をしている、水と油の両方に溶けるマヨネーズなどの両親媒性(分子)の物質です。

グラム陰性菌の細胞壁を構成する糖脂質の成分で、内毒素(エンドトキシン)とも呼ばれます。


グラム陽性細菌とは

グラム染色と呼ばれる化学的処理の適用後に、細菌が何色に染色されるかに基づくもので、紺青色あるいは紫色に染色される細菌の総称です。

グラム染色とは

細菌を青色と赤色に染め分ける染色方法で、細菌の同定や感染症の起因菌の推定などに使用されます。

主として細菌類を色素によって染色する方法の一つで、細菌を分類する基準の一つ。

グラム染色は、デンマークの学者のハンス·グラムが1884年に考案しました。

紫色に染まるのをグラム陽性菌とし、染まらないものをグラム陰性菌と分類します。


グラム陰性細菌とは

グラム染色により、赤色あるいは桃色に染色される細菌の総称で、グラム陰性細菌の中には有用な菌も病原性の菌も含まれます。


肥沃な表土には、土壌1㌘当たり数10億の細菌が生息する。

肥沃(ひよく)とは、土地が肥えて作物が良くできること、またその様子のことで、肥饒(ひじょう)とも言う。


細菌は、動植物の遺体や腐植物質など、有機物の分解を行うとともに、窒素固定や脱窒作用など農業上重要な作用を営むグループを含む。

脱窒(だっちつ)は、細菌などのバクテリアの働きによって行われる他、農業環境や下水処理において行われる。

農業環境では、茶畑や畜産などから排出される硝酸性窒素を含んだ水が、水田や沼、沢地などを通過する際に脱窒され、窒素濃度が低下します。

下水処理では、下水中のアンモニアが硝酸に変化した後に、脱窒によって硝酸が窒素ガスに変化し、大気中に放出されていきます。

自然界では森林土壌、河川の低泥(ていどろ=ヘドロ)や付着物層、湖の底層水や低泥、ヨシ群生地帯などで脱窒が起こりやすい。


藍藻(らんそう)類も細菌の一種であり、光合成能力とともに窒素固定能力を有し、水田土壌の肥沃度増進に役立っています。

更に細菌は、窒素、イオウ、鉄、マンガンなど無機元素の酸化、還元反応に関与し、土壌の物質循環の重要な担い手となっています。


微生物は一般に様々な極限環境下に生育できるが、特に細菌はその能力に優れ、あら
ゆる土壌中でも広く活動しています。

水田に水を張っている湛水(たんすい)期の水田土壌など、酸素を含まない(嫌気=けんき状態)では、細菌が主な物質環境の担い手となっています。


細菌と複合病

線虫と病原微生物との相互関係により、個別的な感染よりも被害の増大や、抑制が認められる線虫関連病害を複合病という。


細菌との混合感染による被害は、ネコブセンチュウが関与している場合が多く、ナス科の青枯病は、サツマイモネコブセンチュウやキタネコブセンチュウと混合感染して被害が大きくなる。

桃の根頭がんしゅ病は、シャワネコブセンチュウと混合感染して被害が大きくなる。

トマトのかいよう病は、サツマイモネコブセンチュウと混合感染して被害が大きくなる。


センチュウ防除

播種、定植前にネマトリンエース粒剤
ラグビーMC粒剤、ネマキック粒剤などを散布する。

米ぬかを土に混ぜる。

同じ科の野菜を近くに植えない。

他の場所で使った土や、消毒していない道具を持ち込み使用しない。

対抗植物を植える

マメ科のクロタラリアやコブトリソウ
イネ科のギニアグラスやソルゴー
キク科のマリーゴールドを植える。










2024/10/15

アサイー No,730

 アサイー ヤシ科

アサイーはブラジルのアマゾンが原産のヤシ科植物

アサイーベリーなどと表記されることもあるが、植物学的にはブルーベリーや、その他のベリーとは近縁ではありません。


アマゾン地帯の河岸や河岸の平野部、水べりに生育している。

アサイーはアマゾンの先住民の間で、15世紀の大航海時代以前から食べられていて、「アマゾンの宝石」とも呼ばれています。

和名はニボンモドキ、ワカバキャベツヤシ

大きく生長すると25㍍もの高さになり、2㍍ほどの大きな葉を生やし、ほうき状の房にブルーベリーよりひと回り大きい黒紫色の実をつけます。


     「アサイーの果実」


ポリフェノールが豊富に含まれ、更に鉄分も豊富であるため、貧血予防にも効果的とされます。

ビタミンEや食物繊維、カルシウム、マグネシウムなど栄養素も含まれています。

栄養価が高いブラジルのスーパーフルーツ


特に抗酸化作用が高く、アンチエイジングや花粉症予防、メタボ予防に効果が期待できるとされています。


植え付け

アサイーは寒さに弱いので、3月頃から10月までに植え付けます。


植え付けてから4年ほどで安定的に実をつけますが、果実の約95%が硬い種で食べられる果肉はわずか5%程しかありません。

収穫時期は8月末頃から12月


甘味、酸味もあまり強くなく、ポリフェノール特有のわずかな渋みと風味がする。

アサイボールとして楽しむのが一般的です。

アサイボールとは、アサイーと言う果実と豆乳で作ったスムージーに、グラノーラやフルーツなどをトッピングするブラジルのスイーツです。


ブラジル(リオデジャネイロ)発祥のアサイボールは、ハワイのカフェやレストランで提供されるようになった、特にセレブたちがこぞって食べ始めたことで人気となった事をきっかけに、世界的に注目されたと言われています。


更にその知名度を上げ、日本でもハワイアンレストランを中心に広まりました。










2024/10/12

クラッスラ·ポルツラケア No,729

 クラッスラ·ポルツラケア

ベンケイソウ科

クラッスラ·ポルツラケアは通常、「金のなる木」と言われている正式名であり、園芸名では「カゲツ」とも呼ばれます。

和名は、「フチベニベンケイ」であるがあまり使われない名である。

また、英語では「マネーツリー·ダラープラント」などといい、葉が硬貨に似ていることが名前の由来とされている。


縁起物でもあり、丸い葉を持つことから金運効果が期待できる植物とも言われています。


    「せん定した枝挿し」


リビングや寝室、玄関などに置き、財運を司る方位の西、金の気を持つ北西などに飾ると良いとされています。

金のなる木に花が咲くと不吉になるという言い伝えがあります。

これは、花を咲かせたまま放置すると、やがて種をつけて元の株は枯れてしまうためで、枯れることを連想させるために不吉と言われるようになりました。


葉がポトポト落ちる

根腐れや根詰まりが原因で葉が落ちる場合は、なるべく早めに植え替えを行います。

根腐れしていると葉がブニョブニョしてきます。

根詰まりしていると、水やりの際の吸い込み(水はけ)が悪い状態になります。

植え替えを行う時は、できるだけ古い土を落として腐った根は取り除くことです。


水やり

冬の間は休眠期に入るので、ほとんど水やりを必要としません。

気温が15度以下になったら徐々に水やりの回数を減らしていき、気温10度以下では完全に水を与えない方が、耐寒性はむしろ上がって丈夫に育ちます。


春が近くなって暖かくなり始める頃に、だんだん水やりの回数を増やしていきます。


伸びすぎた株、せん定

大きくなり過ぎた株は、4月〜10月に好みの位置で切り戻します。

切り取った枝は、風通しの良い日陰で切り口を乾燥させて、挿し穂として使うことができます。


3月、6月、9月〜10月は軽めのせん定なら大丈夫ですが、生育が活発な4月〜5月、7月〜8月は、樹液が流れ出て木がダメージを受けてしまうので、せん定そのものを避ける必要があります。


枝を短く切っても、新たな芽を伸ばして成長を続けることができます。


                          「A」


                                 「B」

「A.B」
せん定後、新しく伸びてきた新芽(葉)


株を増やす目的で挿し木を行うときにも、せん定は必要な作業です。

また、せん定する際には、幹から伸びた細い枝を2〜3本残しておくようにします。


せん定する位置は気にせずバッサリ切ることができますが、1回に切ってよいのは草丈の三分の一程度です。


置く場所

4月〜11月までは、屋外の風通しが良く明るい軒下に置きます。

梅雨から夏は直射日光が当たると葉焼けを起こし、葉が枯れて(黒く縮れて乾燥)落下するので注意が必要です。


11月以降は、日当たりの良い室内に移動し、5℃以上に保てる場所に置きます。

室内よりも屋外の方が元気に育ちますが、梅雨や秋の長雨に当たらない場所が適しています。

また、水はけの良い土に植え替えると元気に育ちます。


肥料

春から夏の生育期には固形肥料を株元に置くか、液体肥料(ハイポネックス1000倍液)を月に2回程度水やり代わりに与えます。

固形肥料は室内に移動する時には取り除くと良い

冬は休眠期となるため、一般的に植物に肥料は与えません。

しかし、室内の暖かい場所で育てている観葉植物の場合は、濃度を薄めた液肥を2週間に1回程度与えます。

与え過ぎは禁物で、また植え替え直後の追肥は2週間程避けるようにします。


また、すべての観葉植物が肥料を必要とするわけではありません。

基本的に冬の休眠期に肥料を与えると、肥料焼けを起こして枯れてしまうので注意が必要です。









2024/10/11

ふくむらさき芋の栽培② No,728

 ふくむらさき

紫芋

収穫予定日まで10日余り、少しだけつる葉を残した状態にするため、つる切りを行いました。


    「9月28日ツル切り」

植え付けから5ヵ月余り、試験的行ってみたいと思います。

さつまいもの生育状態が変化するとは思いませんが、収穫する一週間前につるを切ってしまうことで、さつまいもの甘みを増すことができると言われています。

全てを切らずに少しだけ残して、収穫の数日前にもう一度、最後は残さずに切ってみようと思います。


日光があまり当たらない場所のさつまいもの生育がどうなるのか?

つるを切っても意味がないのかと言うことです。

       「8月20日」

植え付けから3ヵ月後のさつまいもの肥大状態

    「試し掘り8月20日」


       「10月3日」

すべてのツルを切って1週間後に収穫予定です。

同時にマルチも外して収穫までそのままの状態。


仮収穫(10月7日)


      「ふくむらさき」

この品種の生長はかなり遅い

日照が少ない場所では、ほとんど肥大しないのではないかと思う。

前回の試し掘りから40日経過している状態でも、ほとんど肥大していない。


さつまいもが肥大するのは7月〜10月とされ、肥大期間には日照が多く乾燥気味になったほうが、デンプンがよく蓄積され美味しい芋になります。

植え付け後、120〜140日程度、品種によっては160日程度が収穫の目安とされています。

また、株間が広ければさつまいもは大きく育ち、狭ければ小さく育つとされています。


肥料が多いと葉ばかり茂る「つるボケ」になり、芋が出来ない状態になります。









2024/10/04

ナスの主な病気 No,727

 主に家庭菜園で起きるナスの病気

ナスが萎れて枯れる病気

半身萎凋病(はんしんいちょうびょう)
発生時期(6月〜9月)

カビの一種である、バーティシリウム·ダーリエと言う糸状菌が引き起こす病害で、ナスやピーマン、ブドウなど様々な作物に被害をもたらします。

ナスにとって極めて重大な病害です。

感染が拡大すると株全体が枯死して、収穫できない場合もあります。

✼症状として
下葉の片側だけに葉脈で区切られた周縁の不鮮明な淡黄色の斑点が現れ、葉の片側だけが黄化して萎れてしまう。

日中に葉の縁側が、上方に軽く巻き上がる症状が現れます。


✼対策として
育苗には無病土壌を用いる。

前作に発病した場合は、太陽熱処理や土壌くん蒸剤による土壌消毒を行う。

土を消毒する対策をしてから育てることが大切で、すでに発病した株は直ちに抜き取ります。

また、抵抗性台木で病害虫に強い、接ぎ木苗を使うと病気にかかりにくい。


青枯れ病
発生時期(6月〜9月)
病原細菌が土壌中に生存し、根の傷口や地上部から侵入して、株全体が萎れて枯死してしまう。

✼症状として
一部の葉が水分を失って青い葉のまま萎れてしまう。

2〜3日間は日中は萎れた状態になり、夜間や曇雨天の日には回復しますが、その後回復しなくなり、やがて株全体が萎れて枯死してしまう。




ナスの実を触るとブヨブヨと柔らかい。

ナス科の青枯病は、サツマイモネコブセンチュウやキタネコブセンチュウと細菌が混合感染して被害が大きくなる。

根にコブができ、根の組織が壊されて養分や水分を吸収しにくくなり、やがて枯死してしまう。

土質によっても被害程度が異なり、粘土質土壌よりも砂質土壌や火山灰土壌などの排水の良い土壌で、ネコブセンチュウの被害が大きい。


✼対策として
太陽熱利用による土壌消毒や、土壌くん蒸剤などによる土壌消毒を行う。

発病した株は直ちに抜き取ります。

また、せん定や収穫でのハサミによる発病株から、健全株への伝染を防ぐためにハサミの消毒を行います。


  「次亜塩素酸ソーダによる消毒」

また、ナスと一緒に生姜(ショウガ)を植えると、病気を予防してくれる効果があると言われています。

ネコブセンチュウの防除対策として

播種、定植前に土壌にネマトリンエース粒剤、ラグビーMC粒剤、ネマキック粒剤などを散布する。

米ぬかを土に混ぜる。
同じ科の野菜を近くに植えない。
他の場所で使った土や道具を、消毒しないまま使用しない。

マメ科のクロタラリアやコブトリソウ
イネ科のギニアグラスやソルゴー
キク科のマリーゴールドなどの対抗植物を植える。


苗立枯病
発生時期(4月〜5月)
高温性病原菌が原因で、高温期の育苗時に発生する危険性があります。

初芽してすぐや、定植したての苗が倒れて枯れてしまいます。

発病した苗はすぐに抜き取りましょう。

ナス科の野菜は連作障害を起こしやすく、毎年同じ場所で栽培することができません。

同じナス科の野菜を植えたあとには、違う野菜を植えるなど、連作しないように注意が必要です。


ナスの葉が黒くなる原因?
黒枯病や褐斑細菌病などが考えられます。

黒枯病はハウス栽培で多発し、病原菌は土壌表面やハウス資材などに残留して伝染源となります。

下位の病葉や株元の落葉をできるだけ取り除きます。

病気の早期発見につとめ、ダコニール1000倍液を活用して、発生初期の予防をする。


ナスの葉の中に黒い葉がある。

ナスの実と同じ色の葉は、健全に育っている証拠とされます。

マグネシウムが不足するとこの色が薄くなります。





ナスの生長点付近の葉が紫色(ナス色)になっているは、アントシアニンの色で、肥料がよく効いていたり、低温に遭遇した時に生成されます。

また、肥料が効きすぎると花が生長点から遠ざかるので、肥料が効いていることが分かります。


マルチ栽培のデメリット

土が覆われるため、土の状態が確認しにくいので、土が乾いてからの水やりのタイミングが分かりにくくなります。

水やりの時にマルチを外す必要があるので面倒。

地温が上がり過ぎると、高温障害が出る可能性がある。

長年マルチ栽培を続けた土壌は、有機物の分解が進んでいる。

そのため、マルチングの際に堆肥をたくさん混ぜ込んでおく必要があります。

水やりが多いと湿気がたまり、害虫にとって快適な環境になってしまう。

また、バークチップやウッドチップなどのマルチング材を使用している場合、かえって害虫が発生する恐れがあります。


ナスの病気はマルチ栽培で発生しやすいと言える。

特に、日当たりの悪い場所でのマルチ栽培は、土壌中環境などを悪化させ、病気が発生しやすいと言えます。

生育環境に応じて、マルチ栽培は適用する必要がある。









2024/10/03

腐植物質の機能 No,726

 腐植物質

腐植とは、有機物が土壌中で微生物の作用により、徐々に分解してできた黒褐色のもので、植物の肥料として優れています。

腐植土は腐葉土と同様に扱う文献も有るが、腐植土は主に土壌を指し、腐葉土は主に林床で腐熟した落葉落枝や落葉堆肥を指します。

堆肥とは、廃物を微生物に分解させて作った肥料のこと

腐植物質は、土壌生態系の中で多くの役割を果たしています。


その機能は土壌の化学性、物理性、生物性の全てに関わることが知られています。


それは①植物養分供給能、②植物養分保持能、③植物生育促進能、④団粒形成能などです。


腐植物質は、農耕地土壌にとって不可欠の機能を持つことから、特に有機物の分解、消耗の激しい畑土壌においては、堆肥などの有機資材を投入することが「土づくり」の基本とされています。

なお、家畜ふん堆肥やバーク堆肥などが用いられる傾向があるが、家畜ふん堆肥では塩濃度の高まりに注意する必要があります。

バーク堆肥などの木質系堆肥では、植物生育に有害な成分を除くため、十分に熟成したものを使うことが重要です。

①植物の養分供給能とは

1'
植物は水に溶けた無機物を養分として吸収する。

2'
植物の生育に必須な栄養素は17種類あり、チッ素(N)、リン(P)、カリ(K)の三大要素が特に重要である。

カリウム(Ca)、酸素(O)、水素(H)
炭素(C)、マグネシウム(Mg)、硫黄(S)
鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ホウ素(B)
亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)
塩素(Cl)、ニッケル(Ni)


3'
植物は、根の細胞のイオン濃度を利用して、水や養分を吸収する。

4'
養分が不足すると根から有機酸を放出して、通常は吸収できない養分を溶かして吸収する植物もある。

5'
植物は光合成によって炭水化物などの有機物を合成する。

6'
植物の茎の内部には、根から吸収した水分、養分を運ぶ導管と、葉で作られた炭水化物などの養分を運ぶ師管が形成されている。

7'
作物の場合は、チッ素、リン、カリウムが不足しやすいため、肥料として与えられる。

8'
植物の生育に応じて必要な養分を追加で与えることを追肥といい、速効性のある液体肥料や化成肥料が利用される。


植物の養分保持能とは

植物によるタンパク質や脂質の蓄積が、一番見られるのは「種子」の場合です。

植物は葉以外の場所の細胞にも、葉緑体に相当する細胞内小器官を持っており、色素体と総称されます。

デンプンの蓄積は植物が順調に生育しているときにも見られ、葉緑体にデンプンが存在するほか、根にはデンプンの蓄積に特化した色素体が存在している。

植物が順調に生育している場合は、タンパク質や脂質を機能しない状態で、多量に蓄積することはありません。

デンプンは分子が大きいので、色素体を包んでいる膜を通り抜けることができません。

従って、分解も色素体の中で起こり、分解されてできた「糖」を色素体から細胞質に出して「ショ糖」の形に変換した後、必要な場所に送ります。

「ショ糖」とは、スクロール、サッカロースとも言われる砂糖の主成分とする甘味物質のこと。


葉緑体は、光合成以外にも脂質の合成やチッ素の代謝に重要な働きをしていますが、葉緑体が存在しない葉以外の細胞にも何らかの色素体は存在するので、冬に葉を落とした植物が生育できなくなるということはありません。


植物の生育促進能とは

植物生育促進能とは、植物の生育を促進する効果を持つ微生物や薬剤などを指します。

植物の生育を促進する微生物は「PGPM」と呼ばれます。

(Plant Growth Promoting Microorganism)

植物ホルモンを生成する微生物も含まれますが、植物ホルモンを大量に出す微生物は、植物の成長を妨げる可能性があります。


団粒形成能とは

微生物資材が、土壌に与える団粒形成の程度を評価する指標です。

微生物濃度が高まると、多糖類やウロン酸などの代謝産物が多く生産されるため、団粒構造が発達し、土壌の物理性が最善されます。

腐植物質も粘土と複合体を形成していることから、団粒形成の役に立っています。









2024/09/30

生け垣に適した樹種の条件 No,725

 生け垣に使用する樹種の

一般的条件

せん定、刈り込みに強く萌芽力が強い

長い年数が経過して樹の幅が広くなり過ぎたり、樹が高くなり過ぎた生け垣は、かなり強いせん定を行って樹形を保つ必要があります。


生け垣にする樹種は、強いせん定、刈り込みをしても樹勢が衰えず、すぐに芽生える強い萌芽力を持っていることが重要です。

特に、強い刈り込みに耐える樹種としては、カヤ、ウツギ、カシ類、カナメモチ
シイ、マサキ、ピラカンサス
ドウダンツツジ、サンゴジュなどがあります。

逆に、自然風の生け垣にしてあまり強く刈り込まない樹種には、カイヅカイブキ
コウヤマキ、コノテガシワ、モッコク
ヒイラギナンテン、ジンチョウゲなどがあります。


枝葉が密生しやすく、下枝が枯れにくい

目隠しとしての役割を持つ外生け垣には、枝葉が密集する樹種が適しています。

一般に、樹木は頂部優勢性であるため、樹冠の樹勢が強く、下枝は弱い傾向にあります。

生け垣では、日照や通風なども一般の庭木より厳しい生育条件下に晒されます。

そのため、生け垣には下枝の枯れ上がりが少ない樹種を選ぶ必要がありますが、基本的に強いせん定に耐えられる樹種は条件を満たしています。


カラタチ、サワラ、スギなど、生長の早い樹種も枝葉が早く生い茂るので、下枝の枯れ込みが少なくなります。


下枝が枯れにくい、又は生長が早い樹種

ウツギ、カラタチ、サワラ、スギ、マサキ
ネズミモチ、ピラカンサス、ポプラなど


病虫害が少なく管理しやすいこと

庭木全般に当てはまることは、病虫害の発生しやすい樹種は管理の面で負担が大きいことです。

特に、刈り込み整形垣で病虫害が発生すると、一般の単植の樹木より被害が拡大しやすいので注意が必要です。

マサキは、ウドンコ病やアブラムシによるスス病が比較的発生しやすいので、注意が必要です。

しかし、その他の条件が非常に優れているなめ、実際にはよく生け垣に使用されています。

マサキは、強い刈り込みや萌芽力、枝を切断された後の芽吹きが強く、この特性が生け垣に向いているとされています。

生け垣によく使われる常緑樹は、病虫害に比較的強いが、花木はアブラムシ、グンバイムシなどがつくものもあるので注意が必要です。

また、丈夫な樹種でも日照や通風などの条件が悪い生け垣では、常に病虫害に対する注意が必要となります。


寒さや日陰に強く、比較的土質を選ばない

生け垣は日陰になることが多くなります。

生け垣のすぐ脇には、主木となる庭木を植えることが多いため、中高木や高木によって日陰を作ってしまう原因となります。

日陰になっている時間が長いと、気温も上がりにくくなるので、寒さや相当の日陰にも耐える樹種を選ぶ必要があります。


更に、土質に対しても比較的条件を選ばず、よく育つタイプの樹種が適しています。

特に日陰に強い樹種

アオキ、アスナロ、イチイ、カヤ
クチナシ、コウヤマキ、サカキ
シキミなど


湿地に強い樹種

イヌマキ、サンゴジュ、ハルニレ
マサキ、ハンノキなど


海岸地に強い樹種

イヌマキ、カイヅカイブキ、サンゴジュ
シャリンバイ、トベラ、マサキなど


日本全国で幅広く使われてる樹種

イヌツゲ、マサキなど

北海道を除く日本各地で使われている樹種

コノテガシワ、サワラ、スギ、ヒノキ
ヒバ、カラタチ、バラ、ムクゲなど


主に東北地方、関東地方で使われている樹種

アスナロ、ヒムロ、ドウダンツツジ
クコ、レンギョウなど


主に関東地方以南の地方で使われている樹種

カシ類、カイヅカイブキ、カナメモチ
クチナシ、サンゴジュ、サザンカ
ツバキ、ツツジ類、チャ、ピラカンサス
モチノキ、キョウチクトウ(有毒)など


主に九州地方以南で使われている樹種

ホクオウチク、ホウライチク、カンチクなど









2024/09/28

生け垣づくり④ No,724

 樹種または植え方による分類

重層垣(二、三段垣)

樹の高い生け垣と、低い生け垣を組み合わせたものです。

仕立て方は、整形刈り込み垣または自然風垣同士で合わせたり、整形刈り込みと自然風を組み合わせる場合など、様々なパターンがあります。

高さのある生け垣の前面に低い生け垣を作ることで、高さのある樹木の足元(根元)を隠すことができます。

特に、敷地と道路との高低差がある場合は、目隠し効果が増し見栄えも良くなり、下枝が少なくなりやすい樹木に最適です。


しかし、重層垣を作る場合は、生け垣の幅にかなりの場所を取るので、敷地の広さに余裕が必要です。


混ぜ垣

複数の樹種を混植して作った生け垣です。

重層垣も混ぜ垣の部類に入りますが、異なる樹種を玉ものなどの同じ形に仕立てて、これを列植したもの、整形刈り込みで高さを変えたものなどがあります。


混ぜ垣を作るときのポイントは、生長の速度や枝葉の張り出し方などの性質が異なる樹種を組み合わせると、生長していくにつれて樹形が大きく乱れたり、その後の管理が複雑になるので注意が必要です。


花垣

花木を使った生け垣で、開花期には花のある美しい風情を楽しむことができます。

花垣にする樹種は、花つきがよく、強いせん定にも比較的耐えられるものを選ぶ必要があります。

一般には、ツバキ、サザンカ、クチナシなどがよく利用されています。

また、ウメモドキなどの実のなる樹種で生け垣に使われたものもあり、これらも含めて花垣と呼びます。

生け垣にできる主な花木
アジサイ、アセビ、オウバイ、カイドウ
キョウチクトウ、クチナシ、コデマリ
サザンカ、サツキ、ジンチョウゲ
シモツケ、ツツジ、ハギ、バラ
ヒイラギナンテン、ヤマブキ
レンギョウなど


生け垣にできる主な実ものの花木
ウメモドキ、ナンテン、ピラカンサス
メギ、ニシキギなど


注意が必要な毒性樹種
キョウチクトウは花、葉、枝、根などすべての部分に、青酸カリよりも毒性が強いと言われる「オレアンドリン」という有毒物を含んでいます。

口に入れると死に至ることもあるほど、危険な植物であるため、注意が必要です。


キョウチクトウによる死亡事故
1975年にフランスで、バーベキューをしていた7人の男女が、死亡するという事故が起きている。

また、1980年には、千葉県の農場で牛に与える飼料の中にキョウチクトウの葉が混入した。

この飼料を食べた乳牛20頭が中毒を起こし、そのうちの9頭が死亡しました。

混入した牛1頭当たりの量は、乾いたキョウチクトウの葉、約0.5g程度だったとされている。


アセビの毒性
(グラヤノトキシン、クエルセチン)
アセビには、葉や茎、花、枝、根のすべてに毒性があり、摂取すると中毒症状を引き起こします。

アセビの毒性は、馬が葉を食べると酔ったようにふらつくことから、「馬酔木」という名が付けられました。

人にも有害で、摂取すると下痢や嘔吐、腹痛、痙攣、麻痺など様々な症状を引き起こす可能性があります。

野生動物もアセビは決して口にすることはありません。


つる垣

つる性の植物を利用した生け垣で、金網のフェンスや竹を縦横に組んだ四つ目垣などに絡ませ、柔らかい風情を出します。

常緑性のものでは、テイカカヅラ、ムベなど

落葉性のものではツルウメモドキ、ノウゼンカズラなどがつる垣によく利用されています。

注意が必要なつる性の毒性植物
テイカカヅラは、キョウチクトウ科の植物で有毒植物です。

葉や枝など全体的に毒性を持っているので、利用の際は注意が必要な植物です。

日本では古来から自生していた植物で、古くは「マサキノカズラ」と呼ばれたつる性の木本です。

✿木本(もくほん)とは、地上に出ている茎が二次成長で太り続け長い間存続する植物で、普通に言う「木」のことです。









2024/09/26

生け垣づくり③ No,723

形状による分類

整形刈り込み垣

外生け垣に最も多く見られる、生け垣全体をひとつの造形として、整然と刈り込んだ生け垣です。


刈り込み後は細かい枝葉が密集するので、とても美しい印象を与えます。

形は長方形にするのが最も一般的ですが、その他にも円形、列植、盃形、三角形、紡錘形(ぼうすいけい)、台形など様々な生け垣の形があります。


自然風垣(自然形垣)

列植した樹木を1本ずつ整形した生け垣で、整形刈り込み垣のように全体を、平面に切り揃えることはありません。


1本ずつの樹形は使用する樹種によって自然形、円錐形、円筒形、散らし玉などに仕立てます。

実際には人工的な樹形になりますが、一本一本の樹木をそのまま使うと言う意味で、整形刈り込み垣に対して「自然風」と名付けられています。


樹と樹のすき間が、大きく開かないように注意して配列するのがポイントです。









2024/09/25

生け垣づくり② No,722

 作る場所による分類

外生け垣

外生け垣は家の外周に作る生け垣ですが、単純に「外垣」とも呼びます。

通常は侵入防止や目隠しが目的で、人の視線を遮る「1.5〜2㍍」程度の高さのものが一般的です。

ただし、防風や防火を目的とした生け垣は、通常「5〜6㍍」以上の高い生け垣にします。

厳密な高さの規定があるわけではありませんが、一般に3㍍以上のものを「高生け垣」1㍍前後以下のものを「低生け垣」と言います。


通常の高さの生け垣は、高生け垣や低生け垣に対比する場合は「普通垣」と呼ぶこともあります。


   「高さによる生け垣の呼称」


また、侵入防止のために作る生け垣を「バリヤー」と呼び、トゲがあったり人や動物を寄せ付けいほど、枝葉が密生して丈夫な生け垣を作る事が出来る樹種を利用します。

和風ではカラタチ、洋風ではクリスマス装飾でよく使われるヒイラギの仲間の、クリスマスホーリー(セイヨウヒイラギ)などが代表的樹種です。


高生け垣によく使われる樹種

一般的な生け垣に適した樹高3〜5㍍程度のもの

イヌマキ、サンゴジュ、ツバキなど


防火、防風目的で使用する樹高3〜7㍍程度のもの

カシ類、スギ、ヒノキ、シイ類など


景観と防風などの実用を兼ねる樹高5〜8㍍のもの

クロマツ、アカマツなど


低生け垣によく使われる樹種

タマイブキ、サツキ、ツツジ類
イヌツゲ、ジンチョウゲ、レンギョウなど


バリヤーによく使われる樹種

カラタチ、ピラカンサス、ヒイラギ
クリスマスホーリー、ホンツゲ
キャラボクなど

内生け垣

内生け垣は庭の内部に作る生け垣で、単純に「内垣」とも呼びます。

内生け垣の多くは、比較的広い庭で雰囲気の異なるスペースを区分けする場合に作ります。

一般家庭の庭では、景観を考えたとき、他の庭木を楽しむ際の障害になったり、存在感が薄れないように「50㌢〜1㍍」ほどの低生け垣にすることが多く、高くても1.5㍍程度に高さを抑えるのが通例です。

内生け垣によく使われる樹種

ジンチョウゲ、イヌツゲ、チャ
ハイビャクシン、サツキ、ツツジ
カナメモチなど










2024/09/24

生け垣づくり① No,721

 生け垣づくり

生け垣とは、植物を使った囲いや仕切りのことで、文字通り「生きている」垣根のことを言います。

生け垣に対して無表情なブロック塀やコンクリート塀などは「死に垣」と言われる。

生け垣は、四季折々の葉色の変化で楽しめるほか、花木を使った生け垣は開花時の美しさを楽しむこともできます。

更に、通風や通気性が優れていることや、地震による倒壊に対する安全面も注目されています。

開放感を保ちながら境界を仕切る効果もあり、敷地面積の狭い家でこそ生け垣をする利点は多いと言えます。

生け垣の種類

生け垣は、その目的によって使う樹種や作る形が異なります。

最も一般的なのは、隣家や道路との境界を囲い、外部からの目隠しとして使用するものです。

その他に、日陰を作るため、防風や防火を考えた生け垣など、主に外部からの侵入を防止する役目として、トゲのある樹種を用いる生け垣など、目的ごとに適した樹種わ形状があります。

美観と実用の両面で使う樹種を選ぶようにします。










2024/09/22

全く日の当たらない場所での植樹 No.720

 日光が当たらない場所の植樹

植樹の場所としては狭く、家の軒下やその陰になったり、日が当たらない場所でも植木を楽しむことができます。

家の北側など日が当たらない場所では、庭木を植える事は不可能に思えますが、日陰の原因である軒よりも高い木を植えると、葉に日光が当たるので生長することができます。


  「日の当たらない場所での植樹」


この場合、部屋の窓からは主に幹を眺めることになるので、木肌が美しいシャラやヒメシャラなどの高木が適しています。あ

ただし、小さな苗木から育てることは困難なので、1㍍前後の高さの樹木を利用する必要があります。


      「ナツツバキ」

✿シャラは一般的に「シャラノキ」と呼ばれることが多いナツツバキのことで、夏にツバキのような花を咲かせるのでこの名がある。

山地に生え、高さが15㍍程になる落葉高木で、樹皮は古くなるとまだらに剥げ落ちる特徴があります。

他には、樹木を鉢植えにして時々移動して日に当てることもできます。

また、狭い場所では樹木だけではなく、庭石やその他のアクセサリーを置いて、景色に変化をつけるという方法もあります。

鉢植えの樹木を北向きの部屋の中で育てる場合、洋風の観葉植物や陰樹を置くことが多くありますが、時々外気に触れる機会を与えるようにすることが大切です。

日は当たらなくても窓際に配置することが重要です。










2024/09/21

庭木のトラブルと対策② No,719

 花がつかない時の原因と対策


①日照不足

花木の大半は初春から晩夏までに開花します。

花木の花芽分化期は概ね4月から9月ですが、生長期に当たるこの時期は、樹木の活動が最も活発な時です。

日光を十分に浴びた葉が光合成を行い、樹幹内に栄養を蓄え、その栄養分が芽に集まり花芽を形成します。

この生長期間に日照が不足すると、花芽分化に必要な栄養分が不足して花芽がつかなくなります。

対策として、こまめなせん定で茂り過ぎた込み枝を整理し、樹の中の葉までよく日光が当たるようにすることです。


また、樹木が日陰になるときは、日陰になる原因を解決することも大切です。

日陰になることを避けられない場合は、移植する事も考える必要があります。


②土壌の養分過多

樹木の生育には、土壌の養分が豊富であることは大事なことですが、多過ぎても花が咲かない原因になります。

元気の良い若木に花芽がつかないのは、大半の養分を幹や枝葉の生育に使われるためです。

成木(生り木)でもある程度の年数が経ち、樹勢が落ち着くまでは栄養過多が原因で、花芽がつきにくくなることがあります。

チッ素系の肥料が効き過ぎると、養分が幹や枝の生長に回り、肝心の「花芽」が育たない全部が「葉芽」になる場合があります。


油かすや鶏ふんなどのチッ素系肥料の投与を控え、チッ素成分が少ない化成肥料を与えるようにします。

✼主なチッ素肥料
硫酸アンモニア、過リン酸石灰
尿素、石灰チッ素

✼主なチッ素の多い有機肥料
油かす、魚かす、鶏ふん、骨粉


また、チッ素は土壌有機物や堆肥にも多く含まれていて、地力チッ素として年々蓄積していきます。


土壌有機物とは、土壌中に存在する有機物で、主に植物残渣や動物残渣、微生物による溶解等によって生成される黒色の腐植物質のことで、「腐植=ふしょく」とも呼ばれる。

✼植物残渣(ざんさ)とは、植物の収穫後に残る茎や葉、つる、根などの残骸物を指します。

作物栽培地では作物残渣とも呼ばれます。


根の張り具合が良すぎても養分過多になることがあります。

この場合は、株元から少し離れた周辺にスコップ等を入れて断根すると効果的です。

更に、土壌水分が豊富過ぎても養分過多の原因になります。

花芽がつきにくい場合は、断根などで根の活動を調整する必要があります。


③土壌の養分不足

養分の不足で新芽が伸びないか、伸びても弱々しいと花芽はつきません。

原因は、肥料不足や土壌乾燥、日焼けによる葉の衰弱や前年に多くの実をつけ過ぎたことなどがあります。

施肥と土壌管理に加え、日頃の樹木の健康管理が栄養不足を防ぐポイントになります。

また、鉢植えの樹木は根が鉢いっぱいに広がって根詰まりを起こして、栄養不足になることがあるので、一回り大きな鉢に植え替える必要があります。


④せん定によるミス

花後せん定を正しい時期に行わないと、花芽を切ってしまいます。

特に、春から夏にかけて咲く花木の大半は、開花とほぼ同時に新芽が伸びるので、花後せん定の時期がずれると、花芽分化が終わっているので注意が必要です。


⑤病虫害による衰弱

花芽分化期に病虫害が発生すると、葉が弱って栄養不足になったり、花芽そのものを食べられたりして花が咲かない原因になります。

適切な予防と早期発見や駆除が重要となります。

また、燃焼等に伴い発生する「煤煙=ばいえん」などの公害や、海岸地の潮風によるの衰弱も花芽をつけない原因になります。

早めに防煙、防風対策、移植や幹巻きなどの保護を行うことが大切です。









2024/09/20

庭木のトラブルと対策① No,718

 植木がよく育たない、枯れる

庭に植えた樹木がよく育たない、枯れてくるという場合は、主に4つの原因が考えられます。

①栽培環境の不適
樹種が庭の環境に適していない。

樹木は、基本的には環境の変化に対する適応力がありますが、高山性の植物を平地で育てたり、暖地性のものを寒地で育てたりする場合などは特に注意が必要です。

花木に比較的このようなケースが多く見られます。

それぞれの樹種に合った温度、乾燥に対する適性、空気の汚れや土壌などを調べて、植える樹種を選ぶことが大切です。

すでに植えているものは、できるだけ自生地の環境に近づくように、管理する必要があります。


②肥料の与え過ぎ、石灰の与え過ぎ
速効性の肥料を一度にたくさん与え過ぎると、葉が黄色く変色したり、ひどい場合は徐々に枯れてくる場合があります。

✿速効性のある主な肥料として
硫酸アンモニア、硝酸アンモニア
石灰窒素、IB窒素、過リン酸石灰
熔成リン肥、塩化ナトリウム
魚かす、他、やや速効性の尿素(ウレア)などがあります。

シャクナゲ、ツツジ、サツキなどの根が細い浅根性(せんこんせい)の樹種の場合は特に注意が必要です。


また、ツツジやサツキ、カルミアなど微酸性を好む樹種は、土壌改良に使う石灰(アルカリ性)を嫌います。

基本的には、これらの樹種を植える用土に石灰を与えると、速効性肥料の与え過ぎと同様の症状を起こすことになります。


③土の中の害虫
土の中で害虫に冒(おか)されているのが原因で、樹勢が弱ってくることがあります。

コガネムシの幼虫は、放っておくと重要な細根を全部食べてしまうので要注意です。

例えば、鉢植えで引っ張っただけで抵抗なく植木が抜けてしまう場合は、コガネムシによる根の食害が考えられます。

ひどい場合は、一見健康そうな樹木が強い風が吹いただけで、倒れてしまうこともあります。

イヌマキ、ネムノキ、サクラなどはコガネムシの成虫がよく集まり、産卵するので注意が必要です。

その他の樹種でも近くにコガネムシを見つけたら、幹の周辺にダイアジノン粒剤やオルトラン粒剤などを撒いて防除します。

防除は、産卵期の6月下旬から7月にかけて行うと効果的です。

また、同じ場所に同一種の樹木を繰り返し植え付けていると、これも細根を食い荒らすネグサレセンチュウが発生しやすくなるので注意が必要です。


その他に、幹に穴を開け樹幹内に入るテッポウムシ(カミキリムシの幼虫)にも注意が必要です。

はじめは樹皮の近くを食べていますが、次第に中の方に侵入して、幹の中まで食い荒らして大木を枯らしてしまうこともあります。

幹の株元表面に白い粉状のフンが見えたら、テッポウムシに食害されている証拠です。

食い入った穴を見つけたら、針金を中に突き刺して殺すか、オルトランなどな殺虫剤をスポイトで穴に注入して、入口を粘土などで塞ぎます。

卵が孵化する7月頃が処置の適期です。


④下層の土の状態が悪い
都会の庭などでは、土の下層全面にコンクリートの破片が混じっていたり、砂利混じりの土を埋めて突き固めている場合があります。


このような場合は、根の部分が乾燥しやすく、葉が黄色くなる原因になります。

幹周りに敷きワラをしたり、水やりの回数を増やして乾燥しないようにします。

逆に、水田を埋め立てた住宅地やコンクリート、アスファルトで固めた地盤に土を覆った住宅地では、水はけが悪くなり、根腐れなどを起こしやすくなります。


コンクリートが下層にある地盤では、根が必要以上に下まで伸びきれず、生育不良になることもあります。

このような場合は、排水溝を設けて水はけを良くしたり、太い鉄棒などを数箇所に打ち込んで、コンクリートの盤層を破って根が入り込めるようにする必要があります。









2024/09/18

樹木の移植(4) No,717

 断根法による根回し

断根法による根回しは、育成中の苗木等に適用され、適当な鉢の大きさを考えながら根元の周囲に、エンピやスコップ等を突き刺して、土中の根を切断する方法です。

    「断根法による根回し」

溝堀法による根回し

溝堀法は、樹木の根元を掘り下げて、そこに現れた根を切断する方法です。

この時、一度にすべての根を切ってしまうと風で倒れたり、水分の吸収量が不足して枯れてしまう事があります。


太根を3〜4本ほど残して、その根の皮だけを10㌢前後の区間を剥ぎ取っておくようにします。

この処置を「環状剥皮=かんじょうはくひ」といいますが、こうすることによって養水分の吸収能力が損なわれることもなく、風で倒れることもありません。


      「環状剥皮」


やがて剥ぎ取った部分や切断された根から、新しく細根が多数発生して、移植しやすい状態になります。


「埋め戻しておくと細根が発生する」

根回しを行う時の鉢の大きさは、移植を行うときの鉢の大きさに比べて、少し小さめにしておく必要があります。

鉢の大きさの基準として、根元直径の4〜5倍の直径とする。


これは移植を行うときの鉢の大きさの範囲に、根回しを行った後で生じた細根が、鉢の中に納まるようにするためです。


根回しを行うと、根が切られるため樹木の水分吸収量は一時的に減少します。

従って、地上部の蒸散作用とのバランスをとるために、枝葉をせん定して水分の蒸散量を抑えます。

大木では、移植した時と同じように幹巻きをして支柱を施すのが安全です。


その後、掘り起こした土を埋め戻してよく灌水(かんすい)しておきます。

埋め戻しを行う際、堆肥などを切断した根に接して与えておくと、細根の発生が促進されます。


根回しを行った樹木は、新たに植え付けた樹木と同じように時々見回って、乾燥しているようであれば灌水する必要があります。









2024/09/17

樹木の移植(3) No,716

 樹木の根回し

普通根回しは、移植6ヶ月から1年くらい前に行いますが、新根の発生量は樹木の休眠期よりも生長期の方が旺盛です。

大切な老木などでは、根元を半周ずつ2年から3年にわたって根回しを行うこともありますが、根の再生力の強い樹種では、移植の1ヶ月前に根回しを行っても、その効果が大きい場合があります。


造園では、細根が少なくて移植のために、根回しをする必要のある状態の根を「根が荒れている」といいます。

一般に若木で生育の盛んな樹は、根の荒れ方が早く、前回の移植からまだ期間が短くても根回しを行った方が良い。

老木は根の荒れ方が遅いとされる。

前回の植え付け後、根が荒れて再移植のために根回しをしないと危険な植物の目安


❉植え付け後、2年以上経過で根回ししないと危険な植物

常緑樹=ピラカンサ、コトネアスター
落葉樹=サンショウ、カラマツ

1年以上経過で、なるべく根回しした方が良い。


✼植え付け後、3年以上経過で根回ししないと危険な植物

常緑樹=ジンチョウゲ、シャリンバイ
チャイニーズホーリー、トベラ
クチナシ、ウバメガシ、オオカナメモチ

2年以上経過で根回しした方が良い


✼植え付け後、4年以上経過で根回ししないと危険な植物

常緑樹=タイサンボク、キャラボク
オガタマノキ、クスノキ、タブノキ

落葉樹=カキ

3年以上経過で根回しした方が良い

クスノキ、タブノキ等の枝をすべて切り落とし、寸胴で移植する場合は根回しは不要

✼植え付け後、8年以上経過で根回ししないと危険な植物

常緑樹=ツバキ、サザンカ、モチノキ
モッコク、マテバシイ、ヒイラギ
クロガネモチ、カナメモチ
ゲッケイジュ、シイノキ

常緑樹=ハナミズキ、ヤマボウシ
ナツツバキ

4年以上経過でなるべく根回しした方が良い

✼植え付け後、10年〜15年以上経過で根回ししないと危険な植物

針葉樹=ヒマラヤスギ、スギ
コウヤマキ、ヒノキ、クロマツ、アカマツ
カイズカイブキ

常緑樹=モクセイ

4年以上経過でなるべく根回しした方が良い

クロマツ、アカマツ、カイズカイブキ、サルスベリは、5年以上経過でなるべく根回しした方が良い


サツキ、ツツジ類、マサキ、ニシキギ
アベリア、マユミ、ドウダンツツジなどは細根が極めて多く、根の再生力も強いため常に根回しを必要としない。


関東ローム層に生えているクロマツも、適期に適切に移植を行えば、通常は根回しを必要としません。

イチョウ、プラタナス、メタセコイアなどは、根の再生力強い樹種なので適期に適切に移植を行えば、普通は根回しを行わなくても安全です。

また、針葉樹は、広葉樹に比べて一度根回しを行ったものは、根が荒れにくい性質があります。









2024/09/16

樹木の移植(2) No,715

 移植の時期

移植の時期は常緑樹であるか落葉樹か、あるいは地域などによって異なります。

落葉樹では、一般に12月から1月の厳寒期を除く休眠期間(落葉期間)が適期とされますが、その中でも初春の萌芽前が最適期です。

やむを得ず、入梅期(6月〜7月)などの生長期間中に移植する場合は、地上部の葉をすべて取り除いて、蒸散作用を抑制するようにします。


常緑広葉樹は、3月頃から秋までの期間のうちで、新芽が伸長しつつある時期と、一番暑い真夏の頃を除いた時期が、移植の適期です。

そのうち初春の萌芽前、または梅雨期が最適期です。

常緑針葉樹は樹種によって異なりますが、2月下旬から4月までの萌芽前が最適期で、10月から11月の秋期も適期とされています。


北海道などの寒冷地ではすべての樹種において、雪解けから1ヶ月くらいの短い初春の時期が最適期となり、また、9月から10月の間にも樹種によっては移植可能なものがあります。

熱帯地方が原産のものは、一般に真夏に移植する方が活着率が高い傾向にあります。


また、何回も移植して細根がよく発達しているものや、鉢植えにされているものを鉢から抜いて、そのまま露地に植え替えるような場合には、地域に関わらず必ずしも適期に移植しなくてもよく活着します。









2024/09/15

樹木の移植(1) No.714

 移植とは

樹木の根は、しっかりと地上部を支えるように直根=主根が発達し、表土など地中のなるべく広い範囲から養水分を吸収できるように、側根が伸びているのが理想です。


樹木を移植する場合は、側根が伸びていることよりも幹の周りのなるべく主幹に近い範囲に、細い根が多く生じているが好ましい。

このような根を持った状態の樹は、植え替えても枯れたり、樹勢が衰えたりすることがありません。

造園樹木では、細い根が多くある樹木が好まれます。

長年同じ場所に植えられていた樹木は、根が長く伸びていて、株の根元近くに細根が発達していません。


このような状態の樹木をいきなり移植すると、移植のために掘り取りする際、細根の大部分は切り取られてしまいます。

従って、植え付け後に水分の吸収ができないために、枯れてしまうことが少なくありません。

このような事が起こさないために、移植の数ヶ月から1年くらい前にあらかじめ根元近くで太い側根を切断、もしくは環状剥離をして再び埋め戻し、株元近くに多くの細根を新たに発生させる処置を行います。

この作業を「根回し」といいます。


✼移植後に樹木が枯れる

移植によって樹木が枯死する主な原因は、堀り取る際に樹木の細根が著しく減少して、水分や養分の吸収が困難になりますが、それにも関わらず葉面から水分が蒸散し続けるために、植物体内の水分のバランスが保たれないと言う理由からです。


移植した樹木を活着させるためには、バランスを崩さないように処置をすることです。

一方で、もともと移植が容易な樹種もあります。

サツキやツツジ類のように、根元近くに細根が多く発生する性質があるものは、根を切られてもすぐに再生するという性質を持っています。

また若い苗木は、側根がまだ遠くまで伸びていないので、移植に際して切断される根が少なくすみ、若木の活力も手伝って移植は一般に容易と言えます。

葉面からの水分の蒸散を抑えれば良いので、移植時に枝葉をせん定して葉数を減らしたり、蒸散抑制剤を散布することで活着率を高めると言う効果もあります。


場合によっては、移植時にほとんどの葉を取り除いても、活着すれば再生することができます。

移植によって相当弱った樹木でも、活着する見込みがある場合には、葉柄の根元に「離層」が形成されて、樹木が自ら古葉を落としてしまいます。

✫離層(りそう)とは、葉が落ちる前に葉柄に生じる特殊な細胞層のこと

この状態を「とやする」といいますが、移植後葉が枯れる場合でも、離層が形成されて自然落葉するときには、活着する前兆と判断する目安になります。

樹種によってはクスノキのように、ある程度(目通り30㌢)の太さに生長したものの方が、細い苗木の時よりも移植が容易なこともあります。

これは、樹幹内に水分を蓄える性質があって、幹が太いほど含有水分が多くなったり、生長するにつれて移植に対する抵抗力が増すためと考えられています。









2024/09/13

コガネムシ類によるマキノキの被害 No.714

 2024年異常繁殖のコガネムシ類

今年はコガネムシ類が異常繁殖している。

2日間で140匹ほど捕殺駆除しました。


    「食害されたマキの葉」


  「スミチオン液の中に入れ駆除」


コガネムシ類は小型から中型の甲虫で、夕暮れ後しばらくした頃から植物に飛来して、葉や花などを食害する厄介な害虫です。

葉脈を残して網の目状に食害するのが特徴、雑食性で各種の樹木の葉を食い荒らすことから、庭園の害虫としても極めて重要な害虫とされます。

成虫は7月頃から、土中浅くに十数個の卵を数日間にわって産みます。

孵化した幼虫は、土中の腐熟有機物や植物の根を食って育ちます。

成虫の多発期の5月頃から新葉を中心に食害を始めます。

昼間も葉の陰などで静止している個体が多いので、できるだけ捕殺します。

朝早くに樹を揺すったりして落ちてくる成虫を捕殺します。

近縁種にアオドウガネがありますが、同様の被害を示し、砂地に多く海岸に近い地帯での発生が多い。

ドウガネブイブイと、形態的によく似ているが、体色は緑色が強く一見して区別できる。

夜間活動性のコガネムシは、日没後しばらくしてから飛来し始め、夜間樹上で食害する。

一部を除いて早朝には飛来して姿を消す。


昼間活動性の種類は日中葉上にいて食害しています。