緑のお医者の徒然植物記

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土曜日, 11月 24, 2018

カキにまつわるエトセトラ No,54

カキ (柿)


カキは、日本で古くから栽培されてきました。

昔から多くの農家の庭などに植えられ、品種も多彩でした。

最近では、若い人に人気の無い果物になってしまったと言えるだろう。

その理由として、香りがないことや包丁で皮が剥きにくいことが原因のようである。

もう一つ、嫌われる理由として、ゴマのような黒い斑点である。

果肉の中にあるゴマは、渋みを甘味に変えるものだから仕方がないにしても、皮が剥きやすい品種とか、香りが出る品種が作られれば人気も出るのかも知れません。

★カキは品種改良がされないだけでなく、昔から日本人には馴染みの深い果物であったにも関わらず、大切な事がよく知られていない果物です。

◉知られていない事の一つとして、英語の名前です。

カキは東アジア温帯で多く栽培されてきた果物ですが、アメリカ等では売られていませんでした。

そのため、カキの英語名がよく知られていません。

カキの英語名は「パーシモン」

カキは、栄養豊富にもかかわらず、その事がよく知られていません。

カキは学名で「神様の食べ物」や「神様からの贈り物」との名称もある果物です。

例えば、ビタミンCが豊富で、100㌘に含まれる量は、レモンやイチゴとほぼ同じです。

レモンやイチゴはそれぞれ、「ビタミンCの王様」や「ビタミンCの女王様」と呼ばれていますが、カキのビタミンC含量はほとんど知られていません。

1日に摂取すれば良いと言われるビタミンCの量は、大きなカキなら一個食べたらほぼ十分です。

イチゴなら大きさにもよりますが、五個以上は食べなければいけません。

昔からカキは二日酔いに効くといわれています。

タンニンがアルコールの分解を促すといわれたり、カリウムが多いので利尿効果があるからと言われたりします。

◉現在カキは国際語になっていて、カキの名前で輸出され売られています。

しかし、輸出される量が少ないので、リンゴと一緒に積み込まれてしまいます。

成熟したリンゴがエチレンという気体を出し、その気体がカキの果実を軟化させてしまい、日持ちが悪くなって、ますます輸出量が減るのです。

◆カキはあまり知られないまま、大切な果物としては扱わて来なかったようである。

あまりに身近にありすぎて、本当の有り難みが感じられていなかったのかも知れません。

そのため、品種改良にまで思いが及ばなかったのでしょう。

品種改良がされていないのは、カキの持つ植物としての性質が原因てもあります。

カキは、渋柿が優性で甘柿は劣性の性質であるため、品種改良で交配する両方の親に甘柿を使うことは難しく、一方の親には渋柿の品種を使わなければいけません。

そうすると、渋柿が優性ですから、甘柿と交配した結果、渋柿が生まれてくる可能性が高いのてす。

甘い柿が出てくる可能性はありますが、その結果がわかるのは、8年後という長い年月経ってからてす。

だから、カキの品種改良には時間がかかるので、積極的に取り組まれてこなかったと言うことである。

✿甘柿の苗を植えても渋みが残る。

カキの品種によっては、渋みが残る場合があります。

渋みはカキに含まれる「タンニン」によるもので、これが不溶化することによって、渋みを感じられず甘柿となります。

甘柿には西村早生、富有、次郎などの代表的な品種があります。

西村早生では、種子が4粒以上入らないと渋みが残ることがあります。




渋みが残ることと、種子の数が関係することからも分かるように、種子の入りが悪いと渋みが残ることが多くなります。

種子の入りを良くするためにも
受粉樹を必ず植えるようにしましょう。
受粉樹として「さえふじ」などがあります。

✭さえふじ 不完全甘柿
受粉樹に向き、甘柿を作る
裏技的柿です。

しかし、種が入っても甘柿の渋抜きが完全でない場合もあります。

それは、気温に関係があり、夏に冷涼な気象条件であった場合では、低温により渋抜けが悪くなることがあるからです。

このため、気温の低い地域や北日本では、甘柿でも渋みが残ってしまいます。
このような地域は甘柿の植栽敵地とは言えません。

寒冷地では、平核無(ひらたねなし)などの渋柿をアルコール脱渋
または、干し柿にして食べると良いでしょう。

一般的には、渋柿の方が滑らかな
肉質なので、上質な食感が得られます。


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